性交痛とは?
性交痛とは、性交時に感じる痛みの総称です。性交渉中に感じる痛みだけでなく、性交渉を終えてから感じる痛みも含まれます。
また、膣の入り口で起きる「入口部性交痛」、膣奥で起きる「深部性交痛」があり、それぞれで原因が異なります。
性行為は二人で行うものであり、性交痛はどちらか一方の問題ではありません。一人で抱え込まずに、パートナーや医療機関に相談してください。
性交痛の原因は?
性交痛を感じる原因は、以下が考えられます。
- 膣内が濡れていない・うるおい不足
- 膣が狭い・処女膜が厚い、男性器が大きい
- 感染症によるもの
- 婦人科系疾患によるもの
- ラテックスアレルギーで痛みを感じる
原因1:膣内が濡れていない・うるおい
不足
性交痛の原因で一番多いとされているのが膣内のうるおい不足です。膣口付近で痛みを感じるのであれば、当てはまっている可能性が特に高いでしょう。
膣は、性的興奮によって女性ホルモン「エストロゲン」が分泌されて、その働きによって下半身の血流が良くなり、膣の血管壁を押し開いて愛液がしたたって濡れます。うるおい不足の方は、陰茎の挿入時、この愛液の分泌が十分ではない状態といえるでしょう。
濡れない理由には、以下のものが考えられます。
- ストレス・緊張によるもの
- 前戯が足りていない
- 出産経験がある
- 更年期
- 動脈硬化によるもの
愛液が十分でなく、性交痛を感じるのは決して珍しいことではなく、心因性のものから体調の変化、ホルモンの減少などさまざまな要因があるので、自分に当てはまるものがないかチェックしてみてください。
それぞれの項目を詳しく解説します。
①ストレス・緊張によるもの
性交渉に対してストレスや緊張を感じていると、性的興奮を感じにくく、濡れないことがあります。
例えば、過去に性交渉で痛みを感じたことがあり、「また痛みを感じたらどうしよう」という不安感や、そもそも性交渉自体が怖いと感じているケースも該当します。
②前戯が足りていない
前戯が足りていないと、性的興奮が起こらず、濡れない・うるおい不足につながります。
前戯に時間をかけているけれど、なかなか気持ちいいと感じられないという方は、性玩具などのアイテムを利用したり、潤滑ゼリーを使ったりするのもおすすめです。
③出産経験がある
出産後は授乳中に「エストロゲン」という女性ホルモンが減少するので、膣に巡る血流が低下するため、濡れにくくなります。
また、出産時の会陰切開の経験によって痛みやひきつれを感じていることや、性交渉の時に「切開や裂傷部分に痛みを感じたら……」といった不安がうるおい不足の原因になることがあるでしょう。
④更年期
性交痛は、年代問わずに起きますが、更年期では女性ホルモンのエストロゲンが特に減少していく時期に入ります。
そのため、膣が濡れにくくなり、膣粘膜も萎縮して乾いた状態になるので性交痛を感じやすいです。
膣のうるおいが不足した状態で無理な挿入を行うと、強い痛みを感じるだけでなく、出血することがあるので、十分に注意しましょう。
⑤動脈硬化によるもの
膣の血管壁が動脈硬化によって固くなると、性的興奮が高まったとしても、膣の血管壁が押し開かなくて、愛液がなかなかしたたってきません。
濡れるまでに時間がかかったり、愛液の量が少なくなったりして、うるおい不足につながります。
原因2:膣が狭い・処女膜が厚い、
男性器が大きい
女性の膣が狭い・処女膜が厚い場合には、挿入時に膣の入り口で痛みを感じる場合があります。
処女膜の厚みを改善したいという方は、手術で改善を目指せます。
また、膣が狭い・男性器が大きい場合でも、同様に膣の入り口で痛みを感じる可能性が否定できません。膣の広さや男性器の大きさを変えることは難しいため、対策手段に悩む方も多いようです。
原因3:感染症によるもの
感染症にかかると、症状の一つとして性交痛が現れるケースがあります。
該当する感染症は以下です。
- クラミジア感染症
- 淋菌感染症
- 膣トリコモナス症
- 非クラミジア性非淋菌性尿道炎
- 性器ヘルペス
- 軟性下疳
- 性器カンジダ症
- アデノウイルス性尿道炎
感染症は、検査を受ければ感染の有無が明確にわかります。
今まで性交痛がなかったのに、急に痛みを感じるようになったり、他にも気になる症状があったりと、感染症に不安がある方は、自己診断ではなく、ぜひ医療機関で検査を受けて医師に正しい判断を仰いでください。
気になる症状があり、すぐに検査を受けたいという方は、即日検査も可能な天神マイケアクリニックでの検査がおすすめです。
天神マイケアクリニックの特徴原因4:婦人科系疾患によるもの
婦人科系疾患にかかっている場合、性交痛が症状として現れるケースがあります。該当する婦人科系疾患は以下です。
- 子宮内膜症
- 子宮筋腫
- 卵巣のう腫
- 子宮がん
- 卵巣がん
婦人科系疾患は、重症化する危険もあるので、性交痛以外にも気になる症状がある方は、まずは医療機関で検査を受けてください。
原因5:ラテックスアレルギーで
痛みを感じる
ラテックスでできているコンドームを使っていて、性交痛を感じるという方は、ラテックスアレルギーの可能性があります。
もっとも多いラテックスアレルギーの症状は、じんましんですが、赤みやかゆみが出るケースがあるので、気がつかないうちに性器に皮膚症状が起きていて、痛みにつながっているかもしれません。
性交痛を解消する方法は?
性交痛を解消・改善していくには、大きく分けて以下の4つの方法があります。
- 1. 潤滑ゼリーやローションなどのアイテムを使う
- 2. 処女膜切開術を受ける
- 3. 自慰行為で挿入・刺激の感覚に慣れる
- 4. 性交体位を工夫する
性感染症や婦人科系疾患の可能性があるケースは、治療で解消していくので、まずは検査を受けましょう。
性感染症や婦人科系疾患についてのチェック項目や、検査・治療の進め方についてはこちらで紹介しているので、ご確認ください。
感染症が原因の性交痛の特徴解消法1:潤滑ゼリーやローション
などのアイテムを使う
性交痛の原因の一つに、膣内が濡れていない・うるおい不足という要因があります。
手軽に膣にうるおいを補給したいのであれば、潤滑ゼリーがおすすめです。ローションは、膣内には使えないので、前戯でよりリラックスするために使うのに良いでしょう。
解消法2:処女膜切開術を受ける
処女膜が厚い・硬い時には、処女膜切開術を受けると性交痛が解消・改善することがあります。
処女膜切開術は、硬くなった処女膜部分を切開する手術です。処女膜を切開するので、膣の入り口が広がり、挿入時の痛みを解消・改善できるでしょう。
解消法3:自慰行為で挿入・刺激の
感覚に慣れる
性交渉に対して不安がある・緊張してしまう、前戯でも濡れにくいなどのお悩みがある方は、自慰行為で挿入や刺激の感覚に身体を慣らしてみると、実際の性交渉の時にリラックスできる可能性があります。
解消法4:性交体位を工夫する
性交渉では、男性が上位になって行うと、女性が気持ちいいと感じられなかったり、痛みを感じてしまったりするケースがあります。性交体位を工夫してみるのもおすすめです。
具体的には、以下のような女性が上位になって動ける性交体位が良いでしょう。
- 騎乗位
- 背面座位
- 対面座位
感染症が原因の性交痛の特徴
ここまで、性交痛の解消方法について紹介してきましたが、感染症が原因の場合は治療を行わないと性交痛は解消しません。
ここからは、感染症にかかっていることが原因で起こる性交痛について詳しく解説します。
まずは、感染症に感染している場合に現れる、以下の特徴を確認してください。
特徴1:おりものの増加・色、においの
異常がある
おりものの増加や色の異変・においの異常はクラミジアや淋菌、カンジダ症・トリコモナス膣炎などの可能性があります。
おりものの異常が性感染症によるものなのか、正常なのか気になる方は、以下の記事もご覧ください。
特徴2:不正出血がある
月経時以外に出血があることを不正出血といいます。
出血量には個人差があり、おりものに混ざる程度のものから、月経時のような出血などさまざまです。
不正出血が起こるときには、感染症の他にも婦人科系疾患の可能性があるため、まずはしっかりと検査を受けましょう。
特徴3:外陰部のかゆみ、痛みなどの
違和感
外陰部のかゆみや痛みなどの違和感は、性交痛から関連して起こるものとは考えづらいので、性感染症を疑いましょう。
外陰部のかゆみや痛みなどの違和感がある場合、カンジダ症や性器ヘルペス、クラミジアや淋菌感染症、トリコモナス膣炎、梅毒への感染が考えられます。
強いかゆみがある場合、毛じらみの感染の可能性もあります。
性交痛が現れる感染症一覧
以下の感染症は、症状に性交痛が現れます。
- クラミジア感染症
- カンジダ症
- トリコモナス
- 梅毒
- 淋菌感染症
- 性器ヘルペス
感染症が原因で炎症が起こり、膣炎や子宮頸管炎になることもあります。気になることがあれば、早めに検査を受けましょう。